【書評】「武器としての決断思考」

 

1.概要

 

タイトル:武器としての決断思考

著  者:瀧本哲史

 

 変化が激しい今の時代において、どんなことも自分で考え、自分で決めていかなければならない場面が増えていく。 

 そんな考えを根底に、ディベートの考え方をもとにした「決断思考」について授業形式でまとめらています。

 読みやすく、わかりやすかったです。

 

 将来がどうなるか、いまや誰も明確には予測できないのです。これは、漠然とみんなで同じ未来を見ていた高度成長、安定成長の時代とは決定的に異なる状況です。「横並び」「右肩上がり」は幻想に変わりました。まさに、時は「カオスの時代」に突入したと言えるでしょう。こんな時代に生きる私たちは、過去のやり方が通用せず、未来予想もうまくできないなかで、自分の人生や家族の将来を見据えながら、ひとつひとつ現時点で最善と思える「意思決定」を行っていかなければなりません。

p10-11(kindle版)

 

武器としての決断思考 (星海社新書) | 瀧本 哲史 |本 | 通販 | Amazon

 

 

2.構成

 

はじめに 「武器としての教養」を身につけろ

ガイダンス なぜ「学ぶ」必要があるのか?

1時間目 「議論」はなんのためにあるのか?

2時間目 漠然とした問題を「具体的に」考える

3時間目 どんなときも「メリット」と「デメリット」を比較する

4時間目 反論は、「深く考える」ために必要なもの

5時間目 議論における「正しさ」とは何か

6時間目 武器としての情報収集術

7時間目 「決断する」ということ

 

 

3.ポイント

 

・議論は正解を導き出すのではなく、「いまの最善解」を導き出すもの。

ディベートは「準備が8割」、「根拠が命」。

・事前に考えられる反論については、予め返し方や根拠について準備をしておく。

・命題のメリット、デメリットについて比較検討する。

・洗い出したメリット、デメリットに対して出尽くすまで反論を考える。

・反論に耐えたメリット、デメリットを比較し、決断を行っていく。

 

 

4.感想

 

「はじめに」の部分で若い世代に向けて~とあったのですが、確かに20代向けの本なのかな~と思いました。(私は24なのでばっちりターゲット層です。)ある程度歴戦のビジネスパーソンですと当たり前にできていることなのかもしれません。私はヒヨッコなので本書の内容はとても参考になりました。意思決定を行うときの論理的な考え方についてわかりやすくまとまっています。ただ、実践で本書に書いてあることをそっくりそのまま行おうとすると、相当な鍛錬が必要な気がします。

 

 本書は「自分で意思決定を行うために」ディベートの考え方を用いてどのように考えていけばいいのかを紹介してくれているのですが、職場の会議などでも使える内容だと感じました。

 

 私が公務員として働いていた時、ここまで論理的に議題をつめて会議を行ったことがなかったので、何も決まらないまま時間だけが過ぎ会議が4時間を超えたことも…。(そして最終的にも何も決まらなかった。)本書の内容に照らし合わせて言うと、「圧倒的準備不足」だったのだと思います。

 

 「誰が」言ったかではなく、「何を」言ったか、がディベートにおいては重要である、というようなことが書かれていたのですが、そもそも公務員時代は「誰が言ったか」が最重要事項だったので、そこからして論理性とはかけ離れていたのかもしれません。

 

 また、2時間目の内容に、「あまりに議題が漠然としていては議論のしようがないため、議題を具体的な問題に落とし込む必要がある」ということが書かれています。

 

 こう言われると「何を当たり前のことを」と思ってしまうのですが、今思うと公務員時代は漠然とした議題で議論を行い、会議が長時間に及んだ記憶が多々あります。

(例:「今後この事業をどう進めていくか」「この制度設計についてはどうするか」というような漠然とした議題。)

 

 そうではなく、「今後この事業を進めるに当たって、〇〇するか、否か」「この制度設計のこの部分について、〇〇するか、否か」というところまで落とし込み、争点を明確にする必要があったのだな~と、本書を読んで気づきました。

 

 他にも本書を読んでいて、「あぁ、あの時はこういう風に考えて進めていけばよかったのかな~」と気づく内容が多々ありました。意思決定はプライベートでも職場でも頻繁に行うことなので、応用が利く内容になっていると思います。

 

 実践レベルに落とし込めるまで、何度か読み返したいと思う一冊でした。